アザラシの赤ちゃん保護の意義

2006.03.13(Mon)

ここのところ重い話題が続いていますが、今日も重い話題(^^;
ずばり「アザラシの赤ちゃん保護の意義」
現在北海道東部のオホーツク海はアザラシの出産・子育ての最盛期。この時期になると毎年、親とはぐれて迷子になった赤ちゃんアザラシがいろいろな手を経て動物園・水族館・某とっかりセンターなどに持ち込まれます。保護された赤ちゃんアザラシは人間の手で育てられ、海に戻って行きます。(そのまま人間界にとどまり水族館で飼育されるのもいます。)
ではこのアザラシの子供を保護するという行為、どういう意味を持つのか考えてみました。まず保護をするということは、アザラシの数が少ないかというとそんなことはありません。図鑑なりインターネットなりで日本近海ののアザラシの頭数を調べると、ゴマフアザラシは10~20万、ワモンアザラシは50~200万頭、ゼニガタアザラシは数百~千数百頭(世界では数十万頭)、という数字が出てくると思います。ゼニガタアザラシは極端に少ないものの、春先に保護される赤ん坊アザラシのほとんどはゴマフアザラシ(たまにワモン・クラカケ)ですからゼニガタの例は除きます。また、このサイトでも紹介しているように北海道では普通に野生のアザラシがひょこひょこ泳いでいるのを見かけるくらいの数のアザラシがいます。

要するにいずれのアザラシも10万頭以上いて、個体保護が必要なほどの絶滅の危機に瀕しているような状態ではありません。つまり、一年で数頭~数十頭の子供アザラシを保護しようが保護しまいが、全個体数にはほぼ影響を与えない数字でしょう。

ですから私の周りでアザラシ保護の話をすると「なんでそんなに個体数があるのに保護をするの?むしろ野生動物に人間が手を出しているだけなんじゃない?アザラシより絶滅しそうな生物はたくさんいるし」等と返されることも多いです。確かにもっともな意見でして、私も彼らが間違いを言っているとは思いません。これらの意見に真っ向から反論するのは難しいのではないでしょうか。
アザラシ保護によりアザラシの生態解明につながるデータが取れるという面もあるとは思いますが、データを取るだけなら、データを採った後、即海に捨ててもいいわけで、むしろ野生動物のデータを取るならそっちが普通のような気もします。
また死んでしまった赤ちゃんアザラシの死体は陸に打ち上げられればキタキツネや猛禽たちなどの餌になるわけですから、赤ちゃんアザラシを持ち去ることは野生動物の餌を奪っているという見方もできますね。
なによりアザラシの個体数が減っているとしても(実際に減っているかはともかく)、その根本の原因を正さないと数頭海に返したところでどうにかなるものではありません。先日も知床で油まみれの鳥の死骸が大量に見つかりました。アザラシの死体は話題に出ていませんが、もしあれより大規模な油の流出があったらアザラシがごろごろ数百~数千頭単位で打ちあがったかもしれません。そういうアザラシの生息地が抱える根本的な問題が起こったら数頭のアザラシを育て海に返した意義はあっという間に吹き飛んでしまいます。

では、赤ちゃんアザラシ保護の意義はないの?というと私はそうは思いません。

赤ちゃんアザラシを人間が保護し、育て、オホーツク海に帰っていく。これだけでかなりの人の興味をアザラシに向けることができます。単純に見た目が可愛いからね、赤ちゃんアザラシ。さらにアザラシからその生息環境に目を向けさせ、例えば流氷の減少(→温暖化?)、油の流出、魚の減少等の海が抱える諸問題に目を向けさせ、小さくとも(例えば電気消すとか・・・)などの行動を起こさせたら、もうアザラシを保護した組織の勝ちだと思います。いわゆる教育普及活動ですね。海の抱える諸問題を考えるとき、多くの人に興味を持たせる最強の生物は赤ちゃんアザラシなのではないかと私は思います。ほんとに興味をもつの?と思うかもしれませんが大丈夫です。ここの管理人もとっかりセンターの赤ちゃんアザラシの保護・海に帰る様子を見て、なんかできることはないかとアザラシサイトを作ろうと思い、このサイトを作り出したわけです。それにあなた自身はアザラシの赤ちゃんを見たいと思いませんか?(^^)

そういう教育普及活動のためアザラシの保護施設は、ただ育てる→海に返すだけではなく、赤ちゃんアザラシを育てるためにきっとものすごい苦労をされているのでしょうから、その行動をできるだけ表に出し、教材・資料として使っていただければと思います。
人間が海の代わりになってアザラシを育てることはこんなに大変です。でも海は毎年何千~何万頭の子供アザラシを育てています。海ってすごいね、と単純にも言えますし、今年は○頭のアザラシを海に返します。アザラシは今○万頭て○頭は生物学的にはほとんど影響のないような微々たる物です。しかし人間がこの○頭を育てるのにこれだけの労力が必要でした。しかし海には~~という問題があって、この数頭のリリースが吹き飛ぶほどの数のアザラシが大量死する恐れがあります。人間の手によって救われた彼らが、人間の手によって殺されないように彼らの生息地が抱える問題を考えましょう、というのはベタ過ぎか。まぁそういうのはプロの職員さんのほうが数倍上手いだろうから私がこんなとこに書いても恥を晒すだけですね(^^;

と、えらそうにながながと書いてきましたけど、現場でアザラシ保護の最前線に立っている職員さんたちは、上に書いたようなことは百も承知で、今日も目の前のアザラシの命を救うべく戦っていると思います。その行動により私のようなものが興味を持ちこのようなサイトを作っているわけです。そして彼らの思っていることを少しでもサイトで紹介して、さらにそれをご覧になった方が興味を持ち、個体の保護が生息域全体の保護に繋がっていったら理想ですね。


一つ前の記事「ポールマッカートニーが怒られました」も書き足しました。余裕のある方はそちらもどうぞ~
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・その他日々思いつくこと

著者連絡先:
tokkariblogあっとgmail.com
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