日本海を見に行こう

2013.09.10(Tue)

発売初日の7月1日に購入した2013年夏シーズンの青春18きっぷ。3日間の有効期限を残したまま、有効期限の9月10日直前の週末になってしまいました。自由にどこまでもいけるという余裕が心を持つことが最大の効能で、こうガツガツしないのが社会人の余裕といえば余裕ですが、さすがにもったいない。
この土日にしばらくご無沙汰となっている日本海側を目指します。故郷で高校生の頃からほっつき歩いていた新潟の海を見に行こうと思います。




第一走者。まずは北上したいのですが、横浜からだと鉄道の路線の事情上、北上できないのでまずは上野駅を目指します。横須賀線で自宅の駅から品川駅へ。(写真は横浜駅で撮影)
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品川駅で。京浜東北線に乗るのが早いのか、山手線に乗るのが早いのか毎回悩ませられる、この駅の京浜東北線と山手線は同方向のやつが隣り合っていないから。
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第二走者は京浜東北線。大宮行き。これで北行き路線のターミナル・上野駅を目指します。
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新幹線は速くてあっという間に抜かれるけど、ごみごみした都会を早朝に離れられる余裕は嬉しい。新橋あたりで。
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着いた上野駅はなんか新しくてきれいで、安っぽくて上野駅はこんなじゃない!!もっとごみごみしていて薄暗くて汚いのが上野駅なのに。
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そこで古臭い中央口へ。屋根の高い古びた上野駅。今は無き頭の丸い新幹線の絵が案内板に残っていました。
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朝食を食べてこなかったので今日の一食目は上野駅中央改札外の喜多そば。高校生から大学しにかけて、駅の立ち食いそばのデータを取ろうとしていたことがあります。北海道と北東北くらいは8割くらい食べつくしたのでは、、、というくらいでなんとなく大学院の研究や仕事が忙しくなり駅そばから離れて「時間切れ」、、、という感じになっています。時間は有限ということを知らなかった、と思いますし、教えてあげたかったなと思います。
当時は自分一人でやっていたのですが、今はインターネットの発達に伴い同好の士がデータベースを作っています。

2010年代、旅の些細な情報でもインターネットで検索すればすぐに情報が出てきます。こういうのは味気ない、、、と思う事も無きにしも非ずでしたが、最近は素直に便利だなと思います。一度旅に出てしまえば、どんなに手垢の着いたコースで事前情報を持っていたとしても、実際見たものの他に、天候、季節、同行者、雰囲気、体調、タイミング等々のコンディションに印象は左右され、受け取るものも変わり、事前情報の有無で旅の面白さは左右されない。大げさに言えばその電車に乗る前に自動販売機で何の飲み物を買ったかでも相当旅の印象は変わるんじゃないかなと。
ということは、人は何かの旅なり出かけるなりをして、その様子を他人に伝える場合、客観的な表現を心がける(もしくはデータベース的なものを意識する)としても、、結局は偶然による主観も入り、すべて再現可能な正しい情報を伝えられないと思うのです。
で、あるならば、結局、客観的にあるよりもその自分が対面した瞬間の状況と自分の感情を記すことのほうが後から来る方には有益な情報になることもありうるのではと思います。

あ、、麺の券売機はパンダも付いていて上野っぽい。
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喜多そばでは「かけ」を頼みます。駅そばは基本的にかけを頼みます。
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第三走者。高崎線上野発高崎行き。
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上野駅から北上。
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さて、時刻表すらもっていない(、、、どころか旅程も全く調べていない。決まっているのはなんとなく上越線で北上し、信越線の青海川駅で日本海を見ようということだけなので、何時に目的地に着くかもあえて調べていません。)今回の旅行。
この旅は極めて久しぶりの、同行者がおらず、仕事にも関係ない、予定も立てていない普通列車の旅。荷物もカメラと駅のスタンプを押すノートと財布くらいしか持っていませんが、一冊の文庫本を持ってきました。沢木耕太郎著「旅する力 深夜特急ノート」。青春18切符を買った際に、なんか旅の本を持って行こうと思っいましてそれ以来一ヶ月くらいかけて書店を物色し、選んだ本で、この旅まで読むのを待って取っておいた本です。沢木耕太郎氏の本は「深夜特急」を高校生の頃に読んで以来、しばしばその作品を読ませていただいており、好きな作家の上位にランクインしている作家です。深夜特急を読んで、インドにも行ってみたいと思ったし、「私」の感性や生きる力に感動した覚えがあります。
今回この本を選んで持ってきたのはタイトルと装丁に惹かれたのもありますが、おっさん化している自分の「旅する力」、文字通りの「旅」を実行する力もそうなのですが、人生にも例えられる「旅」。そのような旅する力が弱くなっていないか、感性が鈍っていないか、そんなことを子どものころ住んでいた新潟に向かう一人旅の中で向き合ってみようかと思ったからです。
結果的にこの本を持ってきたのは大成功だったのですが、この時点ではまだ旅も始まったばかりで、車窓にも飽きも来ないし、仕事本とは違って無理に読むことも無いと思うので、本の頁は閉じておきました。
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儲かるソーラーとか、景観もごみごみした感じが上野から北上する感を醸しだしてくれる。
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ホームに佇んで嬉しそうに電車を見送る男性の赤シャツが印象的。
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本庄駅。女子高生二人組が駅の立ち食いそばをすすっている図。駅そばはどっちかというとおっさんの聖地で、若い女性、さらに女子高生の二人組などはまず見ないのでおじさんは嬉しくなります。安くて早くてそれなりに旨く日本の伝統的な庶民の食べ物。突き詰めれば一杯の蕎麦にもとてつもない底力があると思いますが、高校生という経済状況を考えても身の丈にあった食べ物であることもまた事実。
物事の本質が分かっている女子高生に敬意を表します。とはいえ、立ち食いそば屋に女子高生が集まるような世になったら、おじさんは入りにくくなるなぁ・・・。
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高崎駅で上越国境に程近い水上行きに乗り換えます。第4走者。
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この水上行きはとても混雑しており、窓を背にする車両端部の席しか空いておらずそこに座ります。目の前には手すり。こんなに近くかつ長時間の間、電車の手すりをまじまじと見ることも産まれて初めてで、そしてそんなことも人生最後になるかもしれないだろうから、一生懸命手すりを観察することにしました。
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水上が近づいてくると、おそらく利根川の支流の川も急な流れになり上越国境が近づいているんだろうと、実感します。
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水上発長岡行き。第5走者。ただし水上駅で乗り換え時間が5分くらいしかないので写真は後で撮る事にしましょう。私にとっては懐かしいのですが新潟の白地に緑色のラインの入った、ありていに言ってしまえばぼろい電車。
水上を出てしばらく行くと長いトンネルが続き、山岳区間へ。トンネルの中に駅があります。川端康成の雪国の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」のトンネルはこの上越国境の清水トンネル。(*写真のトンネルは清水トンネルではないですが)
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国境の長いトンネルを抜けたら、稲刈り直前の黄金の田んぼが広がる新潟。新潟っ子には馴染み深い刈り取り直前の田んぼが延々と広がっています。この辺は魚沼地方で名高い魚沼コシヒカリの産地。
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水上から1時間半、新潟県第2の都市の長岡駅へ。これが水上から乗ってきた列車。わずか2両編成で、1日6本しかない上越国境を越える普通列車ですが、午前の適当な時間に関東を出て新潟県には入れる便のため、水上駅では熾烈な座席確保競争が行われ、途中から乗ってくる大量の地元高校生は立たされ、軽い満員電車並みの混雑でした。そんな騒々しい列車だったので久しぶりに新潟のぼろくさくも懐かしい電車に乗った感慨を覚えるわけでもなく。
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さて、長岡からは日本海側を目指すのですが電車が一時間くらい無い。13時半過ぎですが飯も食っていないので、昼飯がてら長岡の駅前に出てみることにします。
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駅前を歩いていると人だかりを見つけたので行ってみます。全日本製造業コマ大戦。異様な熱気で盛り上がっていました。私は知らなかったのですが製造業の方々がメインのイベントらしいです。それにしても地元の方も含め異様に盛り上がっていました。
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熱気です。製造業のおっちゃんたちが盛り上がっているのは嬉しい。新潟は燕や三条といったような金属加工の街もあります。その主役は大企業ではない、名前も知られていない中小企業の町工場が多いのですが、特定の分野に高等技術を持っていたり、おろし金のみのカタログを出したりしている企業があるわけです。がんばって欲しいものです。
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この味噌汁の売り方は反則な気がします。声をかけたらダッシュでお母さんのところに走っていきそうですし・・・(^^;
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今度は全日本丸太早切選手権大会のキャラクターが。長岡はいろんな方向を目指しているようです。
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雨も降ってきたので町を歩く気もなくなったので、昼飯は長岡駅に戻ってきてまた駅のそば。「トッキー」の絵があるのでJR新潟グループかな。
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このお店では50円追加でふのりそばに変更可能でした。迷わずそれに。新潟の魚沼地方では布海苔をそばのつなぎに使うのです。あまり見た目は変わりませんが、ふつうのそばに比べつるつるとした食感になります。
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長岡駅ホーム。小さい頃、新潟県の北部に住んでいた私は母の実家に遊びに行くのに、行程の2/3くらいのところにあり、電車を乗り換えていたのが長岡駅。ここまで来ると遠くに来たなぁという実感がありました。さらに遠くの国境を越えて関東、、、というのはさらに遠く別世界のように考えてましたが、わずか1時間半で水上から長岡に来たと思うと子どものころの距離感、スケール感の違いに驚きます。
もっとも子どものころは時間が、、、というより単純に電車代を持っていなかったことのほうが別世界感を感じた理由として大きいような気がします。母方の祖父母の家に行くといえば、電車代くらいは両親が渡してくれますが、ちょっと関東に行ってみたいから電車賃を。。。というのは、さすがに無理で、往復の電車代は子どもにとっては大金でしょうから、虎の子のお小遣いから出すには逡巡する額だったのでしょう。あまり記憶もありませんが・・・。その辺の経済事情も含め、おっさんになったということか、、、と感慨にふけります。
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懐かしいドアの半自動の表記。手で開けるなら半自動というより手動なんじゃ???と疑問に思ったのも懐かしい記憶。
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ホームに「雪」の表記。ここは雪国ですから。あと三ヶ月もすれば雪が積もりだすんでしょうね。
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第6走者。長岡発直江津行きは真ん中の列車。これで日本海の駅に出ることが出来るはずです。
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今度はボックス席に一人で。天気の悪い昼下がりのローカル線。昔は一家で座ってひろいなぁと思ったボックス席も対面との距離が近く今はずいぶんと窮屈。これは向かい側に座る人がいたらものすごく姿勢を良くしないときついです。
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この窓の開閉ツマミ。まだ現役でいてくれたのか。。。私が物後心ついたころから既にこんなのでしたから二十数年以上前から変わらないもの。
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長岡を出て一時間。柏崎を出ると車窓に日本海が見えました。曇天の日本海。真冬の日本海に比べれば明るいですがやはりこの憂鬱になるような鉛色は今となっては懐かしい。
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程なく旅の目的地、青海川駅に。半日そこそこで横浜から来れるものですな。
天気は雨模様ですが同好の士が3名下車しました。私と同類のおっさんかてっちゃんくらいかと思いきや、若い女性が一名とヤングなカップル一組という組み合わせ。物好きがいるものです。電車を見送るとあたりは雨音しかしないような静かな集落。
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無人駅の青海川駅を出て線路沿いに下ります。
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青海川集落は谷根川が海に注ぐ河口沿いに出来た集落。河口の両側はすぐに崖になっていて河口沿いの小さな平坦地に出来た小さな集落。
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線路の下のトンネルをくぐると、、、
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日本海です。
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海岸から集落方面。左の赤いのは国道8号線の陸橋。夏草が旺盛に繁茂していますが、誰もいない天気の悪い海。夏の終わりを感じます。
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海沿いの遊歩道を傘を差しながら登っていきます。この遊歩道を歩くのは15年ぶりくらいか。
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一時間くらいあたりを散歩して16時半頃に駅に戻る。そろそろ夕刻の気配。天気も悪かったのですが日も短くなったものです。
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雨の海沿いの駅。
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青梅川駅名標。ホームの下はすぐに海岸。
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帰りの電車がやってきました。
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海を見る目的は達成したものの、海でのんびりしすぎたせいか、本日中には帰れなくなってしまったので、どうするか、、、幸い乗り放題切符なので柏崎という街から越後線に乗り換えて新潟に向かうことにしました。柏崎は萬来という新潟が誇る中華の名店があるのですが今日は見送ります。無念。
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出雲崎を過ぎると日も本格的に暮れてきました。車窓も見えないので持参した「旅する力」にようやく手をつけることにしました。最初は沢木氏の子どもの頃の旅の体験に基づいたエピソード。自分も小さい頃によく乗っていた電車の中で読むと、なかなか自分の体験と重ね合わせ本の世界に入り込むことが出来て悪くないです。自分も小さい頃はこんな電車に乗っていろんなとこ行ったな、と思いつつ。
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大きな木のある駅。この辺は無人駅が続き寂しい列車です。列車内も空いていて静かな様子。読書がはかどります。
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ふと止まった無人駅(粟生津駅)。無人の改札を高校生がすり抜けて行きました。旅の力は沢木氏が高校のころ東北を周遊券を使って東北を12日間の貧乏旅行をした経験の話。夜行列車で行ったりきたりしながら東北を周遊したという話。私自身も大学受験で訪れた北海道で大学の入試が終わったその日の稚内行きの夜行急行に飛び乗って宗谷岬を目指した経験を思い出します。当然まだ厳冬期もいいところ。そのときも北海道全域の列車に1週間くらい乗り降り自由周遊券を持っていたように思います。
夜の列車内の静かな雰囲気、雨の電車の匂い、ぼんやり見える夜の車窓、改札をすり抜ける高校生、自分自身の体験があいまって、本の内容がすっと入ってくる不思議な気分になります。IMG_9799.jpg



列車は新潟駅へ。言わずもがなの新潟県の最大の駅。ホームも改修工事を進めており、駅内のテナントも私がいた頃とは一新されて驚きます。ここまで来れば実家へもいけないことも無いのですが、今回は一人旅を味わい、縛られたくなかったので駅前の安宿へ。泊3000円~4000円でなかなか良い宿が駅前にあります。
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一人旅のとき迷うのが夕飯。土地の名物のようなものはそれなりのお金を出せば食べられますがその手のものは一人で食べるには侘しい。一年に数回は帰る新潟ですのでそういうのはいくらでも味わえるし、堅苦しいのはどうも、、、ということで新潟っ子で賑わっている駅前の「餃子の王将」へ。この間の京都といい、旅に出ると王将に行きたくなるのは何故でしょうかね。。。横浜にも東京にもあるのに。ただ今回頼んだのは新潟駅前店限定の「新潟ラーメン」。しかし新潟ラーメンてなんでしょ。私が住んでいた頃は喜多方ラーメンや札幌ラーメンのように街の名を冠にした新潟ラーメンと象ったものはなかったですが、最近売り出しているのかな。
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一夜明けて新潟駅万代口。私には馴染みある高度成長期に建てた感がたっぷりの地上4階建てですが、政令指定都市の表玄関としてはかなり手狭で枯れた感すらあります。(いまwikipediaで調べたら1963年築の50年物とのこと)万代口側はあまり店舗やテナントも入っておらず、もったいない。改修計画があるようです。
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さて、新潟駅から信越線で南下します。本日乗り込む電車。この赤い色に塗装され、それがなんとなく昭和の匂いを感じる独特のプラットホームを持つ新潟駅も改修されるのしょうかね。もしかしたら現駅を見るのは最後かもと思うとほろっと来ます。
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亀田とか羽生田とか押切とか懐かしい駅名を聞きながら南下。新潟~長岡間は本当に懐かしい。車窓を食い入るように見ます。なんということの無い住宅街、畑や田んぼが虫食いされた新興住宅地、そして新潟の得意技のだだっぴろい田んぼの繰り返しなので、多分よその方には退屈な車窓な気がしますが。。。長岡駅で水上駅行きに乗り換え。
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ボックスシートに陣取りますが、この列車、雨漏りします。うーん、ローカル線臭が漂います。。。まぁ怒るほどでもないので窓枠や壁に寄りかからないように過ごせば問題ない。
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上越線が関東に向かうときは信濃川とその支流の魚野川沿いに遡ります。が、このように昨日からの雨で茶色ににごって増水しているのですが、川の中には釣り人が。。。地元の方と思いますが、さすが新潟のおっさん。
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上越国際スキー場前駅。名前の通りスキー場前の駅、のせいか、この季節は駅前の広い駐車場も車が無くひっそりしています。乗降客もおらず、止まったら全く音の無い駅。ホームの水溜りに雨が水紋を描くのみ。こういう駅の様子や雨の具合を家の出窓から一日中、ものっすごい楽な体制で眺めていられるのが私の理想の生活なのですが、何とか実現したい。
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上越国際スキー場前駅前のスキー客相手の店たち。スキーは完全にオフシーズンなのでみんな閉まって侘しい雰囲気。
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集落と裏に広がるコシヒカリ刈り取り直前の田んぼと田んぼ中に散在するお墓と農道を傘をさして歩く男性。自分が米を作っていた田んぼの脇に葬られるなんてなかなか楽しい気がします。先祖と今の家族と生産の場の距離が非常に近い。農作業のついでにお墓によって豊作を祈る。そんな感じなんでしょうかね。
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もうすぐ、上越国境ですが、車窓は相変わらず田んぼです。現実に戻されている感がありますが、それがいやだということも無く、大げさに言うと自分の生活は新潟側ではなく国境のトンネルの向こうに広がっているんだなぁとそんなのを淡々と受け入れるような感覚。「旅する力」は沢木氏がノンフィクション作家とした歩き出した頃の話、初めて海外を見た話、その意外なエピソードとつづられており、自分が始めて海外を見た頃を思い出しました。私も初めて見た海外となると、宗谷岬から見た樺太になります。。。
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水上について高崎行きに乗り換え、ここからはもう群馬県ですし名実ともに関東といっていいでしょう。白と緑の新潟の電車とはお別れです。ここからは関東で車窓よりむしろ沢木氏の「旅する力」に吸い込まれていきます。
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本も中盤に差し掛かり、沢木氏があのユーラシアの横断に発つころの話、出発前の準備や心境、影響を受けた人々、旅先で撮影した写真の話、孤独な旅の話、「深夜特急」のあのシーンの真相等々・・・。
「ひとりバスに乗り、窓から外の風景を見ていると、さまざまな思いが脈絡も無く浮かんでは消えていく。そのひとつの思いに深く入っていくと、やがて外の風景が鏡になり、自分自身を眺めているような気分になってくる」
「ひとり旅の道連れは自分自身である。周囲に広がる美しい風景に感動してもその想いを語り合う相手がいない。それは寂しいことには違いないが、吐き出されない思いは深く沈潜し、忘れがたいものになっていく。」
ひとり旅好きな人には共感する文章がそこかしこに。鳥肌が出る想いです。思わず感動したページを写真に撮ってしまいました。
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本は途中ですが、終点高崎に到着し、乗り換え。本の余韻を感じつつ下車。
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高崎駅の名物ダルマの像。
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枯れつつも活気のある立ち食いそばを発見。「旅の味」という筆文字にしびれます。店名の「たかべん」ということは高崎の有名駅弁のダルマ弁当を作っている業者さんが営業しているのかな?
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ラーメンをプッシュしているらしく実際ラーメンを食べている客が多かったけど、昨日以来、そばで通します。かけだけどワカメが入っている珍しいかけそば。
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店舗の外には「速食美味」の4文字。この手の店の本質を4文字で表しています。店名といい、コピーが秀逸なお店でした。
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さて、高崎駅に戻ってきます。高崎駅は有名なダルマ弁当をはじめ駅弁の豊富な駅。さらに群馬には超メジャーな駅弁の横川の峠の釜めしもあり、これも高崎で売っています。私は高崎では鶏めしが一押しなので買い込んで車内へ。
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高崎からは高崎線湘南新宿ライン東海道線直通の快速で横浜まで乗り換えなしで2時間15分。
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買った鶏めしを入れてくれる袋。ダルマの街らしいデザイン。
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今回の旅行のお土産。地酒のワンカップものが多い。駅やコンビニで買っているのでメジャーなものばかりですが。越後ビールは現在これだけ流行っている地ビールの第一号となったコシヒカリ入り新潟の地ビール。
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高崎駅の鶏めし。鳥の表情が秀逸なイラスト。特に真ん中下の羽根を広げているトリのくちばしを上に向けている角度、お尻の辺りのもこもこ感、やる気の無い足の具合が好きです。
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さて、静かな昼下がりの車内。とろとろ眠くなる気もしますが、「旅する力」の続きが気になって仕方ない。本は後半に差し掛かり、沢木氏がロンドンに着いた後、つまり「深夜特急」本編のあとの旅の話、日本に帰ってくるときの話、そして深夜特急を書き出すことになった経緯の話が続きます。なぜタイトルが「深夜特急」なのか、どのような構成、計算によって書かれているのか、あの独特の装丁はどのような経緯で決まったのか、、、等々、興味深い。
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「旅する力」には「深夜特急」に対する世間の反応についても書かれてあります。「深夜特急」が紀行文学大賞を受賞したときにかけられた阿川弘之氏の言葉。阿川氏は私が大好きな作家の一人でもありますがこの二人に接点があったのが意外でした。両者は対極的な旅行イメージを勝手に持っていたので。実際阿川氏は「深夜特急」とは正反対の旅行をしたらどうか、ということを沢木氏に伝えるのですが、、、
また本書で「深夜特急に写真を入れなかったのは文章だけでその土地の空気感までも伝えたかった、、、」とありましたが、これが結果的に「深夜特急」では大成功しているでしょう。それだけの自信を持っておられたということですが、さまざまな文章の作成手法や実験を重ね、力を蓄えて勝負したかったとの覚悟がすばらしい。そしてそれに成功するのがかっこいい。旅行作家の大家である宮脇俊三氏も一流の紀行文には写真は必要ない、むしろ邪魔といった趣旨を書いていますが(すいません、うろ覚えです)、まさにその通り。
その他、深夜特急の映像化(大沢たかお主演のドラマ、井上陽水の積荷の無い船が主題歌となっていた)や猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイクの話への所感。どちらも私の高校生の頃にリアルタイムで見ていたたので懐かしい気分に。

「深夜特急」の作成話のあとは、沢木氏の旅に対する想いが掛かれています。旅の適齢期の話、若者は未経験なものが多く経験に感動できる、ただし感動するにはそれなりの経験も必要である、という旅の適齢期の話は印象に残りました。3歳児にインド旅行に感動せよといっても無理な話で、感動にも土台がいるということでしょう。一方で20代の旅を50代でやろうと思っても出来ない、出来なくなっているともあります。モロッコでドイツ人が「too late」と言った印象的な話、旅から学んだ話。自分自身の体験を振り返っても、北海道をぐるぐる回っていたときに感じたもの、なかでも自然に押しつぶされそうになったような体験は強烈な印象で澱のように残っています。

翻って今、まだそこそこ若く子どもとかのしがらみも無い、今しかインドだのネパールだのに行くチャンスは無いのではないかとも思います。

こんな情報がもやもやと自分の中でどろどろのスープのように煮込まれてくると、こりゃぼんやり暮らしている場合でもけちけち貯金している場合でもない、と決意せざるを得ません。行ってみたいところは若いうちにいけるときに行かねばならない。そしてそれは後でお金をかけても決して取り戻せない、となると、インドのカルカッタやバラナシの遺跡、ネパールのエベレスト(これは見るだけで良い)やチベット、グレートジンバブエの遺跡や喜望峰にも行っておかないと大変だぞ。帰ったら早速旅立とう、仕事も何もかも投げ捨てて、、、と行かなくても下見くらいに短期で出かけてよさそうなら仕事でもやめるか~~、という危うい気持ちになる麻薬みたいな本でした。

「旅する力」は「深夜特急」本編よりも心を動かされるものがありました。ただし「深夜特急」を私が読んだのは高校生の頃。「旅する力」にもある、未経験の経験を味わうにはそれなりの経験が必要ということは読書にも言えることで、当時の私は「深夜特急」をそれなりに面白く読んだとは思いますが、理解するには経験が不足していたのかもしれません。今回の旅行での冒頭のほうに出てきた川端康成の「雪国」を高校時代表面の字面だけ追って、どこがいいのかあまり理解できなかったのと同じように・・・。

「旅する力」の文庫本の裏にはこんなことが書かれています。
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電車は見慣れた横浜に到着。緑色のストライプの入った窓のサッシも古い電車が入ってきました。
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今回の日本海を見に行く旅も目的自体は達成しまして終わりです。しかし沢木氏の「旅する力」を持っていったことによって、むしろこれから旅が始まるような不思議な気分で帰ってきました。18きっぷは5日分使えるのですが結局4日しか使っていません。使用スタンプが押されない5日目の欄は旅が終わっていないことを暗示しているようで今の気持ちを忘れないようにラミネート加工でもして保存しておこう。
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幸い、来週から遅い夏休み予定で8連休。深夜特急のように半年とかの旅行は出来ないけれども、ちょっと下見にインド辺りにでも一度行ってこようと思います。



家についたら早速インドへの航空券と入国方法を調べようと思います。






付記)インドへの渡航はビザが必要で、しかも申請から一ヵ月半くらいかかるそうな・・・。来週から行くというのは無理そうなのでインド行きは延期しました。体勢を立て直してもう一回挑戦します。
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ひろき


著者:ひろき

内容:
・アザラシ、海棲哺乳類、鳥、海底の這いずりモノの記録
・旅の記録
・読んだ本の記録
・団地のリノベーション
・その他日々思いつくこと

著者連絡先:
tokkariblogあっとgmail.com
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