阿寒の観光

2005.12.02(Fri)

 私は阿寒湖のものでも観光業に携わっているものでもないですし、偉そうなことを言えるわけではないですが、今まで3ヶ月近く阿寒湖に滞在し、観光地・阿寒湖の現状を多少でも見てきました。そして言いたいことがたくさん溜まってきました。外から来たからこそ見えるのもあると思います。そんな想いです。

 旅行者には団体旅行に参加する方と個人旅行の方がいると思いますが、阿寒湖の場合、この二つはくっきり分かれています。団体旅行はアジア系の人たちと日本の50代より上の方達がほとんどで、30代より下の方は自家用車・レンタカーがほとんどみたいです。私の周りでも団体旅行に参加したことがある友人は聞いたことがないですし。
 で、私の体験、友人が来た際の観察からの独断ですが、若者はお金を持っていないので阿寒湖にはほとんどお金を落としていきません。せいぜい宿泊代(しかも安いとこ)とガソリン代とお土産を1000円ほど買うか買わないか程度でしょう。何より若者にとってお金を落とす決め手もないですし。
 お金は金満年輩団体旅行者のほうがよほど落として行きます。で、団体は遊覧船に乗って水槽があってマリモの展示施設のある島まで遊覧船で往復して大型バスに乗り込んで次の観光地へ…、というのが一般的なようです。団体客にもいろいろありまして、低価格な客だと東京発二泊三日往復飛行機で29800円という千歳~羽田の通常往復航空券金額より安いツアーがあったりします。こういうお客さん、悪いとはいいませんが、常識的に考えてこの予算から宿泊施設に払われるお金は通常に予約される場合より遥かに安いものはお分かりいただけるでしょう。ホテルにとってもうまみ(というとやらしいですが、当然ホテルは慈善事業ではないので。)のある客ではないのでそれなりのサービスしかできないですし、お客さん側もそれなりのサービスしか受けられないので不満。どっちも不満なままで、お客さんは「もう来ねえよ!」という思いを抱き北海道を後にします。
 まぁ、これが現在の阿寒湖の状況なのですが、この状況、果たして続くのでしょうか?今の30代以下の個人旅行をしている人たちがお金を持っている年輩になったら団体旅行に移るのでしょうか?

 団体で動くのがめんどくさい、好きな行動が取れない、そして個人で移動ができるレンタカーも一般に普及したので、若い人はツアーには出ずに個人旅行をしているわけです。 この流れは顕著になっているようで阿寒湖のホテルの年輩の従業員に聞くと「今の若い人はレンタカーだからなぁ~」とか言ってました。
 この個人旅行の旨みを知っている個人指向の強い若者が年輩になったら、団体にシフトするかな。私ならシフトせず、好きなようにとっぷりととっかりセンターに行きます。私の50代半ばの両親でさえ北海道に来た時はレンタカーか、私を運転手にするか、あるいはJRのフリー切符を買ったりして好きに行動しています。

 要するにこれからは今までのようなツアーは廃れていき定番観光地だろうがなんだろうがこれからは、個人に行かなくていいやと思われれば閑古鳥が鳴くでしょうし、団体客が暇そうにぞろぞろ列になってうろうろしているということも少なくなるでしょう。

 で、再び阿寒湖ですが、阿寒湖の売り、他の観光地と差別できるところは?というと「マリモ」というのが現実的でしょう。温泉は北海道ならどこにでもあるし、阿寒湖のホテルで出される食べ物は他から持ってきたものを客に出しているのが現状ですから。ではそのマリモを使って何か魅力あることができているの?というと現在のところ厳しいです。遊覧船に揺られ、マリモの展示施設のある島に10分滞在し、その間にみるというのが現状です。触ることはもちろんできませんし、自然の状態でどのように生きているのかということすら、見ることができません。私の友人の場合、遊覧船に300円以上の価値は無いと切り捨てていました。

 それでは阿寒湖は凋落の一途かというと決してそんなことはないです。今は古い観光地からの脱皮期かなとおもいます。
 まずは今年の阿寒町と釧路市の合併をにらみ、阿寒湖が釧路の外れに位置し全体からの重みが軽くなるという危惧からか阿寒町の観光協会をNPO法人化するという技を繰り出しました。フットワークも軽くなり、横に長い湖畔温泉街の観光客の便を図るため循環バスの運営を開始したり、夏季にはオープンカフェを開いてみるなどなかなか活発に活動しています。結構いろいろなところで「変わらなきゃ!」という息吹を感じます。
 マリモのほうもこの間、地元保護会の会長さんのお話をお聞きしたら「阿寒湖内の絶滅した生息地にマリモ群落を復元し、そこは自由に生息地を見学できたり、実際にマリモに触ったりすることができるような場所にしたい」とおっしゃっていました。今阿寒湖では地元・研究者が一体となってこの生息地復元に取り組んでいます。将来復元した生息地に行ってみたらマリモでキャッチボールができるくらいに気軽にマリモに触れられるようになっているかもしれませんね。マリモでキャッチボールや雪合戦のようにマリモ合戦ができるとか言われたらかなり行ってみたい気がしますし。人間の影響で絶滅したマリモ生息地を人間の手で復元する、それだけでもかなり異質な土地になるでしょうし、なんとなくプロジェクトX臭も漂う土地になりそうです。

 長々と書いてきましたが若者がお金を持つ世代になったとき彼らを呼び込める何かを阿寒湖が持っているか、それが一番重要だと思います。そして現状に居座ることなく、常に新しい世代のニーズを読んでいくことが必要です。それをせずに昭和後期のままの観光地で停滞していたのが現在の阿寒湖の状況だと思います。阿寒湖を北海道に置き換えても同じようなことが言えるだと思いますが…。
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